「トゥーランドットの声」

先日、イタリアの歌劇場の方のレッスンで、トゥーランドットを歌う機会がありました。最初に歌い終わると「ジョヴァンナ・カゾッラと同じ声だ」と、若干興奮したご様子でおっしゃってくださいました。

カゾッラさんは、ズービン・メータ指揮、チャン・イーモウ演出の紫禁城での《トゥーランドット》公演で、姫を歌った方です。

「トゥーランドットは、声に合ってない人が、技術もなく歌ってしまうことも多いが、あなたにはトゥーランドットに必要な資質が備わっている。トゥーランドットの声を持っている。カゾッラをよく聴いて、勉強するように」と、何度も熱心におっしゃってくださいました。

レッスンが終わってから、一緒にいた友人が「彼女は他にはどんなレパートリーが合いますか?」と訊いてくれました。先生がおっしゃることには、「とても難しい……。彼女はとても珍しい声で、トゥーランドットに本当に合っている。だから、とても難しい。他に合う役が見つからない。強いて挙げるなら、アイーダだろうか?」とのことでした。

「例えば、ザンドナーイの《フランチェスカ・ダ・リミニ》はどうですか?」と訊ねると、「それも確かに合ってはいるけれど、どこの歌劇場でやる?《トゥーランドット》は世界のどこでもやっているし、《アイーダ》も世界のどこでもやっている。仕事に繋がる役を勉強しなさい」とおっしゃられました。

そうか……世界に通用するレベルで考えないといけないのかと、気持ちが改まりました。漠然と、やるならば本当にいいものを、世界レベルのものを、と考えてはいたけれど、こうして実際にイタリアの歌劇場で責任あるお立場の先生からおっしゃっていただくと、背筋がしゃんと伸びるような思いです。

他には、ワーグナーやエレクトラも合っているとおっしゃっていただけました。今の方向性が正しいとわかって、嬉しいです。

トゥーランドット、ワーグナー、エレクトラ。今年はこれらのレパートリーに絞って、勉強を深めていって、いつでも対応できるように育てていきます。わくわくします!

先生、本当にありがとうございました!!



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