プレッシャーをマネジメントする


昨日、Twitterを眺めていると、こんな投稿が心に飛び込んできました。




 とても素敵な考え方です。喜びをより表出していくことで、自分から進んで、周りを明るく照らしていくことができますよね。私も、喜びを素直に表出できる自分を、大事に育てていきたいです。ひろさん、ありがとうございます…!



 ところで実は、この投稿、最初は「プレジャーマネジメント」を、「プレッシャーマネジメント」と読み間違えていたんです。無意識の読み間違いは、自分の心を投影しているもの。おそらく、先日クローズドの本番があったので、プレッシャーや緊張との付き合い方が、自分にとって最新の課題だったようです。


 せっかくなので、「プレッシャーをマネジメントする」ということを考えてみることにしました。これを時間かけて分析しておくと、残りの人生が楽になっていくような気がします。


 そもそも、プレッシャーや緊張というのは、どうして生まれるのでしょう?


 自分の場合を例に挙げてみると、「本来の自分の器以上に、盛ろうとしている」時に、プレッシャーや緊張が生まれるようです。確かに、「よく思ってほしい」とか、「いいとこ見せたい」とか思っていると、心身が固くなって、パフォーマンスもうまくいきません。


 あと、過去の経験を振り返ってみると、根拠のない「本番力信仰」に縋っていた時には、緊張が生まれやすかったような気がします。「本番力信仰」というのは、「本番になると、得体の知れないエネルギー=本番力が湧いてきて、いつもの自分以上のパフォーマンスができるんだ! YEAH!」という、謎の思い込みです。


 いえ、本番は、普段の積み重ねにある通過点にしか過ぎません。「本番力」は確かに存在しますが、それは積み重ねの先で得られる、作品と客席を繋ぐコミュニケーションの一種です。そして「本番力信仰」は、胆力と集中力のなかった自分が現実を直視するのが嫌で、妄想の中で生み出した、単なる民間信仰です。それより現実を直視して、普段を底上げしていこうぜ……!と過去の自分に言いたくなります。


 先日のクローズドの本番に臨むにあたっては、「プレッシャーや緊張は、現実をつぶさに分析していくことによって、解体していくことが可能となるのではないか」と仮説を立て、それを基に実践を重ねていきました。


 私が取った手法は、「行動台本を作ること」でした。手順は、次の通り。


①本番での最善のパフォーマンスをテーマに、課題と現状をスプレッドシートにつぶさに書き出して、ひとつひとつ対策を書き入れていく。

②決めた対策以外のことが心に浮かんできたら、呼吸法を通じて取り除く。

③決めた対策を、ただ実行していく。


 この3つを、ただ実践していきました。本番は緊張するものだと割り切って、時間のある本番前に、「本番に向けて何をしていくか」という大枠を、あらかじめ決めておいたのです。行動台本を、あらかじめ決めておいたのです。


 行動台本は、細部までは決めません。あくまで大枠です。ただ、「やること」に加えて、「やらないこと」も決めておきました。いくら不安になっても、「やらないことリスト」に入っているものは、断固としてやらない、と決めたのです。私の場合だと、発声をがんばりすぎてしまうこと、などです。不安になると、ついついたくさん声出ししたくなっていたのですが、普段のコンディションを保つこと以外は排除しました。


 本番を迎えるにあたっては、むしろ、この「やらないことリスト」の方が重要だったな……と、振り返って思います。緊張が高まってくると、普段やらないことをやりたくなってきちゃうんですよね。まだ足りない、足りない……と思うと、余計なことをやりたくなってしまう。暴力的なまでのその衝動を制御するのに、「やらないことリスト」はとても有効でした。


 結果として、緊張はしましたが、緊張が浮かんでくる度に、呼吸法と「やらないことリスト」で解体していきました。無限列車で戦う炭治郎もこんな心持ちだったのかしら、と思いながら、緊張が浮かんでくる度に解体していきました。そして、行動台本に沿って、体と心を動かしていくことが出来ました。


 あくまで個人の一例ですが、行動台本やらないことリスト、何かのご参考になれば幸いです。





藤野沙優 Official Web Site

まあるく、生きる。 まあるく、暮らす。